第3章

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5  おい……と、ひと言だけ、澁澤が、諌めるような声を上げた。    別に、本気で怒っていたわけじゃないんだろう。  僕はそう思ったし、事実、それはそうだったはずだ。  澁澤のシャツのボタンを外し、そのまま、その指先で胸の尖りを弄って擦る。  喉の突起が、ひとつ、上下に動いて、澁澤が呻き声を噛み殺した。  早く、追いついて、僕に……。  祈りめいて懇願しながら、僕は澁澤を愛撫する。  早く、勃って、熱く大きくなって。  それで、それで―― 「そんなに……欲しいか?」  澁澤の声が掠れた。  うん、と、子供じみて頷き、「ほしい、すぐ、ほしい……」と、僕は繰り返す。  澁澤の指が、僕のジーンズのジッパーへと伸びた。  ファスナーが引きおろされて、ベルトのバックルが、カチャリと外される。  僕の熱い塊は、枷を解かれ、さらに熱と質量を増して痙攣する。  きっと、澁澤は「まだ」だろう。  そう思って僕は、スラックスの上から澁澤に触れた。  だが、その場所は、すでに熱っぽく張り詰めていて、僕は驚く。 「今日は……お前がエロ過ぎるから、なんか、俺も反応が早かった」  ひとつ含み笑いを洩らして、澁澤が言う。
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