第4章

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1  腰が重い。  寝返りを打つと、シーツに触れた下腹部に、かすかに熱いような痛みが走った。  おとといから昨夜と続いた「摩擦」に、その部分の皮膚はもう、敏感を通り越したような状態になってしまっている。  「サル並み」だな、まったく……と。  つい、僕はやるせなく吐息を洩らす。 「なんだ? いい歳の若い男が、朝一番にするのが、溜息をつくことか?」  低くしゃがれた声がした。  朝、僕が目覚める時間までベッドにいるなんて、澁澤にしてはめずらしい。  指先が伸びてきて、僕の髪をクシャリと撫でる。  焦げ臭いような、タバコの残り香がした。  ――「CAMEL」だ。  僕は黙ったまま、ベッドから起き上がる。  十時から、大学の低温室の予約が取れていた。  混み合う人気の施設だ。チャンスを無駄にする気はない。  というより、そもそも、設備の数が少な過ぎるのだ。  あれで国でランキング一、二位を争う大学だなんて、よく言う。  ホント貧相な国だよ、ここは。  基礎研究をないがしろにすると、後々取り返しがつかないことになるって、サルでもわからないか?  ま、そうなってみないと解らないんだろうけど。頭の悪い連中は。  そしてまた、僕の唇から溜息が洩れる。  どうしたんだか、どこまでも辛気臭いじゃないか? 僕も。  そう思ってまた溜息をつき、僕はシャワーのコックを全開にした。  
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