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詩花の声が聞こえて、心配そうに私の様子を伺っている。
「詩花、ちょっといい?」
ーーーーー***
「………………うそ」
「ほんと」
夜空に打ち上がる花火を見上げながら、さっき起きた出来事を美憂から聞かされて、私は思わず目を丸くする。
「………え、ど…どうするの…?」
「……どうしたらいいと思う?」
どうしたらいいか、なんて…。
美憂は、槙さんが好きなんだし、佑くんの想いに応えることは出来ない。……はず。
「私ねー、佑くん見てて思ったんだよね。……ああ、これって私なんだ、って。応えられない気持ちと、想われる気持ちと、どっちもわかっちゃうんだよ…」
「……美憂」
「この間、槙さんに「絶対私の事、好きにさせる!」って啖呵切ったけどさ、ちょっとしたことで落ち込むし、自信なんて全然ないの」
美憂の横顔が、寂しそうな色を纏って、光に照らされたり、消えたりを繰り返す。
「デート………してみよっかなぁ…」
小さく呟いたその言葉は、ひと際大きく打ち上げられた花火の音に負けずに、私の耳に鮮明に届いた。
「……美憂は…それでいいの…?」
すごく深刻な顔をして尋ねる私を見て、小さく吹き出す。
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