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「もう…。詩花、眉間に皺寄ってる。そんな深く考えないでよ。よく考えたら、私はお店での佑くんしか知らないじゃない?彼の言う通り、何も知らないわけだし、本当の顔を知るのも大事なのかな…。って思っただけ」 そう言う美憂だけど、ほんとは佑くんの気持ちがわかるから、断れないんだってわかっている。自分を見てるようで、辛いんだってことも…。 私は、何をしてあげられるんだろう……。 ドン、ドン、ドン!…と、クライマックスに向けて、連続で空へと打ち上がるそれを、二人無言で眺めていた。 *** 「最後、すっげぇ綺麗だったすよね!」 興奮冷めやらぬ中、佑くんがやたら熱弁している。どうやら、枝垂れ桜のような花火がお気に入りらしく、写メが綺麗に撮れたらしい。 「いや~、いい花火大会でした!」 お店までの道程で、このセリフを一体何回聞いただろう。わいわいとしている中で、じっと黙っている美憂。きっと、いろんなことを考えているんだろう。 「じゃあ、美憂さん、詩花さん、お疲れっした!」 少しアルコールが入っているのもあって、やたらテンションが高い。みんなに手を振り、美憂と駅に向かって歩き出そうとした、その時 「佑くん。………デート、してもいいよ」
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