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「……たまには、一緒に入んのもいいな」
いつもなら、私を困らすことしかしないくせに、そう素直に囁かれると何だか調子が狂う。
「………たまになら、一緒に入ってあげても……いいよ」
「……へぇ」
首筋に唇が這う感覚に、ビクっと身体が揺れる。
「……その言葉、忘れんなよ?」
ニヤリと三日月を描く口元を背中で感じて、遅すぎる後悔をした。
ーーーーー***
「美憂さんっ、明日忘れてないですよねっ?」
花火大会から二週間後。
いつもの居酒屋でご飯を食べている最中、佑くんが美憂に話しかける。
鮭のグラタンをスプーンで口に運ぼうとしていた手をゆっくりとおろす。
「ほんっとしつこい!覚えてるって言ってんでしょ!何回も確認しなくても、ドタキャンなんかしないわよっ!」
ラインでも散々言われ続けているため、若干苛ついている美憂に、ものすごくだらしない笑顔を向ける佑くん。
「いや、だって、嬉しいんっすよ!楽しみすぎて寝られないっす!」
「あっそ」
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