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私達の関係は、絶対にバレてはいけない。
それは、ハルの事務所の人との約束。
デビューが決まった頃、何度となく事務所の人から、別れてほしいと催促された。
私の存在がハルにとって邪魔になるなら、離れようとも考えた。
だけど、それを頑なに拒否したのがハルだった。
「しい と別れるくらいなら、俺はこの世界に入らない」
いくら説得しても折れないハルに、事務所側が渋々納得した。
付き合いを続けていく条件として、二人で会うのは事務所が借りたマンションの部屋でのみ。
外で会うのは許されない。結婚なんてもってのほか。細かいところまで挙げだしたらキリがないけど、私はハルとずっと一緒にいるためには、この条件を守り続けていくしかない。
「……そりゃそうか。知らない人なんかいないくらいだもんね」
大型ビジョンから流れるプロモーションビデオに、釘付けになる。画面越しなのに、ハルの目に囚われる。声に溺れる。私はもうハル無しじゃいられない。
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