2076人が本棚に入れています
本棚に追加
「うおっ!ちょ、美憂さん!」
「遠慮すんな、って言ったのは、そっちでしょ!」
「そういう意味じゃないっすよ!」
周りから見れば、きっとただのバカップル。
そんな周りの目を忘れるくらい、思いっきりはしゃいでしまっていた。
「……これ、どうすんの?」
二人してびしょ濡れになった格好のまま、縁石に腰を下ろす。
「この陽気だし、すぐ乾きますよ」
私以上にびしょ濡れになっている佑くんは、目を細めて空を仰ぎ見る。
「ん。」と差し出したハンドタオルを、嬉しそうに受け取る。
今日だけで、どんなに佑くんに想われているかがよくわかった。
こんなにストレートに表現されるのは、悪い気はしないし、単純に嬉しい。
それなのに………。
もし、槙さんとなら………。一瞬でも、そう考えてしまう私は、最低だ。
最初のコメントを投稿しよう!