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「うおっ!ちょ、美憂さん!」 「遠慮すんな、って言ったのは、そっちでしょ!」 「そういう意味じゃないっすよ!」 周りから見れば、きっとただのバカップル。 そんな周りの目を忘れるくらい、思いっきりはしゃいでしまっていた。 「……これ、どうすんの?」 二人してびしょ濡れになった格好のまま、縁石に腰を下ろす。 「この陽気だし、すぐ乾きますよ」 私以上にびしょ濡れになっている佑くんは、目を細めて空を仰ぎ見る。 「ん。」と差し出したハンドタオルを、嬉しそうに受け取る。 今日だけで、どんなに佑くんに想われているかがよくわかった。 こんなにストレートに表現されるのは、悪い気はしないし、単純に嬉しい。 それなのに………。 もし、槙さんとなら………。一瞬でも、そう考えてしまう私は、最低だ。
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