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「……もうひとつ、見せたいものがあったんですよね」
「ん、なに?」
佑くんが指差す方へ目を向けると、そこには鮮やかな夕日が視界を埋め尽くした。
「……う…わぁ…!……綺麗!」
眩しいくらいの反射に、片目を閉じる。
キラキラと波間が揺れて、自然と口元に笑みが零れる。
「……知ってました?一応、ここデートスポットなんすよ」
「そうなの?でも、こんな綺麗だったらわかる気がする~!」
「………美憂さん、意味わかってます?」
「何が?」
はぁ。と、ひとつ溜息を零すと、グッと距離を詰められる。
その瞬間、ふわっと佑くんの腕に包まれて、潮の香りと佑くんの匂いが私を縛り付ける。
「ちょ…っ…」
「……俺とキス、します?」
「……っ…するわけないでしょ!」
「なんだ、残念。今ならいい雰囲気だし、いけるかな~って思ったんすけどね」
憎ったらしい顔が余計に私の頬を赤らめる。
一瞬でもドキドキした自分が悔しい。
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