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マンションのドアを開けると、まだハルの姿はなかった。 何時になるかもわからないけれど、ハルに会える……その事実だけが、私の心をはやし立てる。 じっとしていられない私は、特に何をするわけじゃないけれど、部屋中を行ったり来たりを繰り返す。 手には、いつ連絡が来てもいいように、ギュ、と携帯を握りしめていた。 ーーガチャ…と玄関のドアが開いた音がしたのは、八時を過ぎた頃。 ハッとして、バタバタと走って玄関へ向かう。 「……ハルっ…!」 そこにいたのは……… ハルではなく、奏さんとリクさん。 「詩花ちゃん、遅なってごめん!」 申し訳なさそうに、眉を下げるリクさんに、「ご飯食べた?」そう言って手にしていた袋を渡す奏さん。 「……奏さん、リクさん、どうして……」
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