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「あんな記事、全部デマやから。上手いこと二人っきりで食事してるかのように撮られてんねん。あの場には、マネージャーもおったしな」
リクさんが、これ以上不安にさせないよう、わざと明るく、にこやかな笑顔を向けてくれる。
「ただ…でっちあげだろうが、あんな記事が出た以上、暫くハルはマスコミに狙われる。いくら張ったって何もでないけど、詩花ちゃんとの事だけは、勘づかれるわけにはいけないから」
奏さんの表情もどこか浮かない感じがした。リーダーとして、これからどうするべきか、事務所と何度も話し合いを重ねてきたんだろう。
「暫く……騒動が落ち着くまでは、ハルとは会えないと思っててほしい。事務所からも、これまで以上に監視が厳しくなると思うから……」
覚悟はしていたとはいえ、やっぱり辛い。
けれど、私はそれに耐えなければいけない。
「……わかりました。いろいろとありがとうございます。ハルには、私は大丈夫だから、心配しないで。って伝えてください」
私に出来ることは、ハルに心配をかけないよう笑顔でいること。
こんなことで負けてちゃダメだ。
強い女にならなきゃ、ハルの傍にはいられない。
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