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「ほんまに大丈夫なん?」 「だーいじょうぶですって!二人とも明日もお仕事でしょう?早く家に帰って、ゆっくり休んで下さい!私は、このまま泊まっていきますから」 ニコっと笑顔で返す。 少しでも一人にさせないように、このまま朝まで一緒にいようと気遣ってくれる二人。 奏さんもリクさんも、仕事で疲れているはずなのに、これ以上、迷惑をかけるわけにはいかない。 「何かあれば、すぐに連絡してね?……相談くらいなら乗れるから」 そう言って、連絡先の書いてある紙を手渡す。 「……ありがとうございます」 それを受け取ると、そっと二つに折ってスカートのポケットに忍ばせる。 「ラインや電話くらいなら、できるようになると思うし、もうちょいの辛抱や。詩花ちゃん、頑張りや!」 返事の代わりに、笑顔で返した。 二人に別れを告げて、パタンと玄関のドアが閉まる。 ズルズル…っとその場に座り込む。 もう、限界だった。 「……っ……」 ーーー今日だけは許してください。 明日からまた……笑顔で頑張るから。 溢れる涙は、とめどなく流れ続けた。
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