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真っ直ぐ部屋に行ったと見せかけて、暫く時間を開けてから、再びマンションの裏口を出る。 「………どこ行くの?」 後ろからかけられる声に、思わず足が止まる。 カツン…カツン…と、ピンヒールの音が耳に響く。スッ…と俺の横に立つと、小さな声で囁いた。 「マスコミが後ろに張りついてるのも気付いてないくらい、慌ててどこ行くつもり?馬鹿なこと考えないで、って言ったでしょう?」 気持ちばかりが焦って、確認したつもりが見逃してたってことか……。 こうなってしまっては、俺に出る術はない。 大人しく部屋へと戻ることにした。 エレベーターが上昇していく中、俺はある覚悟を決めた。 「騒動が落ち着くまで、詩花とは会わない。……だから、せめて連絡くらい取らせてくれよ」 「………考えておきます」 俺がちゃんと部屋に入るのを、今度は見届けたマネージャーは、またエレベーターで駐車場へと戻っていく。 バタンーーと閉まる扉の音に、一気に身体の力が抜けた。 リビングのソファへと倒れ込むと、携帯を操作して電話をかける。
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