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「……あ、奏?……悪い、ちょっと頼みたいことがある……」
一部始終を説明して、電話を切る。
ちょうどリクと一緒だったみたいで、俺の頼みを二つ返事で頷いてくれた。
『やっぱり行けない』
そう一言、連絡を入れるのは簡単で、だけどそれが出来ないのは……。
もう、これ以上、詩花を悲しませたくないから。
「……結局、行けねぇんだから……一緒だよな……」
部屋に飾ってある詩花との写真を眺める。
「………詩花、………ごめん……」
一人で泣いてんじゃねぇかとか、
強がって我慢してんじゃねぇかとか、
あの記事を、信じてなくても不安になってんじゃねぇかとか、いろんな思いが頭の中で、グルグルと渦巻いていた。
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