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ハルから連絡が来たのは、騒動から一ヶ月立った頃。
仕事を終えた私は、自分の為に簡単な夜ご飯を作る。
人のためなら頑張れるのに、自分の為となるとどうしても手抜きになってしまう。
オムライスとスープをテーブルに並べて、リモコンでテレビの電源を入れる。
明日の天気予報に目を通しながら、「いただきます」と小さく呟いて、スプーンを手にした時、
ーーーーピリリリ……
着信を告げる音に、手にしたスプーンを置いて画面に目をやると、一瞬にして通話ボタンをタップする。
「……っ…もしもしっ…!」
「……しい?」
「……ハルっ……」
一ヶ月振りに聞くハルの声に、目頭がじん…と熱くなる。少し震えた声に
「……なに、泣いてんのかよ?」
言い方はいつもと変わらないのに、やけに優しく聞こえる声に、涙腺は刺激される。
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