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チーズケーキを食べ終えて、カラン……と、お皿にフォークを置く。
「……まぁ、わかってたことだけどね。付き合ってるわけじゃないし、好きだって言われただけの相手に、嫉妬なんかしないよね」
ストローでカフェラテの氷を、カラカラ…と掻き回しながら、小さな溜息をついた。
「……何でこんなに上手くいかないのに、嫌いになれないんだろう……」
嫌いになれたら楽なのに…。
他の手を取れば、こんなに悩むこともなくなるのに。
頭ではわかっていても、気持ちは簡単には思い通りになってくれない。
どうしても、辛い方へと足が向いてしまうんだ。
「………ほんとに、佑くんと付き合っちゃおうかな……」
「美憂……」
「あんなに想ってもらえるって幸せじゃない?……絶対、大事にしてもらえそうだし!」
「………それで、ほんとに後悔しないの?」
カラカラと氷を掻き回す手が止まる。
少し俯いたまま、下唇を軽く噛む。
ゆっくりと顔を上げて、弱く微笑む。
「……大丈夫、ちゃんとわかってる。……後悔しないように……するから」
ピロリンーーと美憂の携帯が鳴る。
多分……きっと、相手は佑くんだ。
「……詩花、ごめん。私、行くね」
「うん。……わかった」
美憂と別れた後、私はある場所へと向かう。
今からしようとしていることは
きっと、余計なこと。
だけど、黙ってることが
出来なかったんだ。
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