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ピクっと眉が微かに動く。 「取られてから気付いたって、もう遅いんだからね」 カタン…と席を立つ詩花を見上げる。 怒っているというよりは、泣くのを我慢しているような顔。 「………槙さんの馬鹿」 そのままレジへと向かい、お店を出て行く詩花の背中を眺める。 ………馬鹿ね。確かにそうかもしれない。 どうしてわざわざ美憂の好みを佑に教えた? …………俺の方が知っているという優越感。 どうしてデート中だとわかってるのに、電話した? …………緊急なのもあるけど、気になって仕方なかった。 どうして今、こんなに焦っているんだ? …………美憂を取られたくない独占欲。
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