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私達がよく行く居酒屋へと足を進める。 一つ、一つ個室になっていて、周りを気兼ねせずにゆっくりできるのが良い、と評判の居酒屋だけど、私達は決まってカウンターで呑む。 そのお陰で、店長や店員さんと仲良くなって、今では会話を楽しみながら呑むのが、当たり前になっていた。 「こーんばーんわ!」 いつものようにカウンターに通してもらって、店長の槙さんに挨拶をする。 「……なに、お前ら、また来たの?」 「ちょっと!お客様に向かって、それはないんじゃないの?」 槙さんを、キッと睨みつける美憂を気にも止めずに、トン…とビールを二つカウンターへ置く。 「いつものでいいんだろ?」 「ん、よくわかってるね~」 「……それだけ来てたら、覚えるっつーの」 口ではそう言ってても、口元には微かに笑みが浮かんでいる。槙さんは、美憂のことが好きなんじゃないかな…と思い始めたのは、つい最近のこと。本人に確かめた訳じゃないけど、美憂を見る目が何だか優しく感じる。
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