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ドンーっと両手で俺の胸を押し返して、距離を取ろうとする美憂さん。
髪の毛の間から覗く耳が、真っ赤に染まっている。
「……もうっ、すぐそういうこと言う……」
俺を置いて、さっさと歩き出す美憂さんの後ろを追いかける。
「置いて行かないでくださいよっ」
「さっさと来ないからでしょ」
何を言われても、俺の顔はだらしなく垂れ下がっている。
周りから見たら、気持ち悪い奴かもしれない。
コーヒーショップに寄ってから、美憂さんをアパートまで送り届ける。
「送ってくれてありがと」
じゃあね。と言って部屋に向かう美憂さんの手を掴む。
「ん?なにーー」
そのまま、そっと顔を傾けて近付ける……つもりが、ピタっと止める。
無意思に顔を逸らす美憂さんに、気付いたから。
………調子乗って、がっつきすぎたか。
おでこをコツ…とぶつける。
「…じゃ、おやすみなさい」
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