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「へぇ、俺も見てみたいな。新しい詩花」
「もう、槙さんまで!からかわないでよ」
大好きな春巻きとハイボールを交互に口に運びながら、少し拗ねた顔を向ける。
「でも意外だな。いくら美憂に勧められたからといって、嫌なら詩花は買わないだろ?……てことは、詩花も彼氏に見せたいわけだ?」
痛いところを突かれて、軽く咳き込む。
「詩花、大丈夫?」そう言って、背中を軽く叩いてくれる美憂。槙さんは、ニヤニヤと怪しい笑みを浮かべていた。
「……もう!やめてよ!」
咳き込んだお陰で、少し涙目になる私に、お水を手渡してくれる。私はそれを受け取ると、ゴクゴクと飲み干した。
「そうか、そうか。詩花も結局彼氏のことが大好きなんだな」
〆のきのこと明太子の釜飯と焼きチーズカレーうどんを、ドンとカウンターに置く。
「……私、ちょっとお手洗い!」
そう言って逃げるように、化粧室へと向かった。
「冷めるから早くな!」と言う槙さんの声を背中に受けながら。
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