2

14/24

2073人が本棚に入れています
本棚に追加
/456ページ
ーーー美憂side 「………槙さんも馬鹿だね」 「あ?」 「無理してるくせに」 「なんの話だよ?」 「……詩花のこと、好きなくせに」 ほんの一瞬、僅かに顔から笑みが消える。 けれど、すぐにいつもの営業スマイルを浮かべた。 「美憂。面白んねぇ冗談じゃ笑えねぇよ」 「冗談かどうかは、自分が一番わかってるくせに」 アルコールのせいで、少しだけ大胆になってる部分もある。意地悪をして話を振ったのは私だけど、平気なフリして笑っている槙さんを見ていると、イライラする。 いつも優しい目で詩花を見つめるくせに、彼氏の話題になると、一瞬だけ切ない目をする。 私は、それを見るたびに、胸がギュっと押しつぶされそうになる。 はあ……と、大きく息を吐くと 「……詩花が笑ってるなら、俺はそれでいいんだよ。奪いたいとか、そんな事を思ってるわけじゃない」 「そんなわけないでしょ。好きなら、自分のものにしたいと思うのが、普通じゃないの?」 いつになく、真面目な顔で私を見る。 いや、どちらかといえば、少し怒っていると言った方がいいのかもしれない。
/456ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2073人が本棚に入れています
本棚に追加