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我ながら、随分強気なことをしていることくらい、よく分かっている。
本当は、今にも逃げ出したいくらい。
だけど……私は、この人がどうしても欲しい。
初めてこのお店に来た時から、ずっと見ていたんだから。
スッと視線を先に逸らしたのは、槙さん。
「美憂、他の女を想ってる男を傍に置いて、辛くないと思うか?」
「置いてみなきゃ、わかんないよ」
「馬鹿はお前だよ。もっと自分を大事にしろ!」
すこし語気を荒げて、冷たい視線をこちらに投げる。少し怯みそうになるが、グラスに残るビールを一気に飲み干すと
「不毛な恋を続ける槙さんの方が馬鹿でしょ。どんなに好きでも手に入らないんだよ。キスだって、エッチだって出来ない。私だったらーー」
「美憂。それ以上言うなら、本気で怒るぞ?」
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