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「……どうしたの?」 ハッと気付くと、後ろに詩花が立っていた。 今の会話を聞かれたかもしれない…なんて一瞬過ぎったけれど、詩花の反応を見る限りじゃ、大丈夫そうだ。 「何でもねぇよ。うどんが熱いからって、八つ当たりされてただけ」 「そうなの?」 何も疑問も持たずに席に着くと、器に取り分けてあるうどんへと箸を伸ばす。 「ん!美味しい!」なんて言いながら、美味しそうに食べる詩花。ふと、こっちに目を向けると 「美憂、食べないの?もう食べやすい熱さだと思うよ?」 「あ…うん。食べる、食べる!」 無理に笑顔を作って、口に運ぶ。 いつもの味なのに、何故か今日は、しょっぱく感じた。 「美憂!?どしたの!?」 私の頬に流れる涙。 道理で、しょっぱく感じるはずだ。 次々に流れる涙をおしぼりで拭う。 「ごめん、辛くて泣けてきた。ちょっと化粧室行ってくるね」 鞄を手にして化粧室へと向かう。 槙さんの顔は………見れなかった。 慣れないことをした罰だ。結局、最後まで強気な女を演じきれない。むしろ、目の前で泣くなんて槙さんにとったら、面倒くさい女でしかないだろう。
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