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「はあ………」
鏡に映るのは、完全に心が折れた私。
何も始まってもいないけれど、傷痕さえ残せなかった。
「………諦められるのかな……」
静かな化粧室に、ポツリと私の声だけが響いた。
ーーー*****
「美憂、大丈夫かな?いつもと辛さは変わらないと思うんだけどな………」
化粧室に視線を送りながら、釜飯を食べる私に
「美憂は追加で香辛料入れたんだよ。止めとけって止めたんだけど、挑戦したいとかなんとか言って……」
「そうなの?じゃあ、入れ過ぎちゃったのかな?美憂、辛いの割と平気な方だから、泣くなんてよっぽどだったのかも」
お箸を置いて、「ご馳走様でした」と手を合わせる。腕時計に目をやると、夜の21時を過ぎたところだった。
「詩花、デザートどうする?」
「んー…今日はお腹いっぱいだし、止めとく」
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