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「……デザート、次につけとくから。今度は馬鹿なことするなよ」 槙さんもまた、私達に目もくれずに、一心不乱に手を動かしている。 美憂は、返事もすることなくお店を出て行く。 私は急いでお会計を済ますと、荷物を持って美憂の後を追うように、お店を飛び出した。 「……美憂っ!……ちょ、待って!」 お店を出ると、すでに美憂の姿は遥か遠くにあった。私は、久し振りに全力疾走で、その背中を追いかける。 ぐいっと腕を掴んで、無理矢理その足を止めさせた。 「はぁ……っ、美憂!…待って!…っ」 情けないことに、ほんの数十メートル走っただけなのに、息が上がって苦しい。運動不足なのか……はたまた歳のせいなのか…… 膝に手をついて呼吸を整える。ふと顔を上げた時には、美憂の目から再び零れる涙。 「……美憂、ほんとにどうしたの……?」 こんな美憂、初めて見る。 いつも明るくて、笑顔で……私に付き合って泣いてくれた以外で、人前で涙を流すことなんて滅多に見ない。
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