2073人が本棚に入れています
本棚に追加
/456ページ
覗きこむように、美憂の顔を下から見上げる。
美憂は、ぐいっと目元を拭うと
「詩花………私、槙さんが好き!」
「………え?」
突然の告白に、私は目が点になる。
周りを行き交う人達が、チラホラと私達へと視線を投げかける。
こんな道の往来で立ち止まっているもんだから、通行の邪魔だと言わんばかりに、冷たい視線も混じっている。当然といえば当然だ。
「初めて会った時から………ずっと好きなの……」
「美憂………」
「さっきはごめん……ちょっと槙さんと……やり合っちゃって……」
そう言葉にすると、またじわっと涙が溢れてきたのか少し顔を歪める。
私はポンポン…と軽く背中を叩くと、ゆっくりと端に寄ってガードレールにもたれかかる。
「そっか……」
今は何も言わずに、ただ傍に寄り添っていた。
最初のコメントを投稿しよう!