2073人が本棚に入れています
本棚に追加
/456ページ
ーーーコトコト……
ーーーートントントン……
ーーーーージュー…パチパチ……
いろんな音が、キッチンから奏でられる。
それを一人で聞きながら、世話しなく動き回るのには、もちろん理由がある。
ハルからラインがきたのは、三日前。
『明後日、早く終われそう。マンションで待ってて』
半月ぶりのデート……と呼んでいいのかわからないけれど、久し振りにハルに会える。
こういうお仕事は、なかなか時間が読めなかったりするため、スケジュールが決まっていても、急な変更だってあるし、何度かドタキャンされたことだってある。
私には、この世界のことはよくわからないけれど、私達が会う時は、必ずハルがアクションを起こす。私から、会いたい。なんて一度も言ったことがない。
……違う。言ったことがない。んじゃなく、言えないんだ。
会いたいなんて………
ハルを困らせることは言えない。
だから会える時は、必ず手料理を作って待つ。ハルの喜ぶ顔が見たいから。
美味しい。って言う声が聞きたいから。
最初のコメントを投稿しよう!