2073人が本棚に入れています
本棚に追加
/456ページ
バタバタバターと、リビングへと向かいテレビに釘付けになる。
画面に映しだされるのは、昼間見たものと一緒で、黒い衣装に身を包み歌う彼らの姿。
その姿に昼間と変わらず目を奪われて、そこから離せない。僅か数十秒の出来事なのに……
「……この曲、好きだな」
ポツリと呟いた一言に、ハルが耳元で囁く。
それは、今さっき聞いたばかりの曲。
バッと振り向いた私に、また意地悪な笑みを浮かべながら、「好きなんでしょ?」と言いたげな顔を向ける。
「………ーーっ、ずるいよ!」
「なにが?」
わかっているくせに、私の口から言わせたがるのは、いつものこと。こうやって、ハルのペースに巻き込まれていくんだ。
「……っ、もういい!」
さっき途中だったアイスを取りに行こうと、キッチンへと足を向ける。……はずだった。
気が付けばソファに背を預けて、顔を上げれば、相変わらず綺麗なハルの顔があった。
「……目の前にいるのに、テレビばっか見てるからだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!