2073人が本棚に入れています
本棚に追加
/456ページ
「サンキュ」
それっきり言葉を発しないハルに、電話が切れたのかと画面を確認してみる。
通話中なのを確かめてから、ハルに話しかけた。
「……ハル?聞こえてる?」
「………しいは、我慢出来んの?」
「……え」
その言葉に、少なからず私の心は揺れる。
我慢………なんて出来るはずがない。
けれど、素直に口に出来るわけもなく、今日も強がってみせた。
「お仕事だもん、仕方ないよ。ハルも頑張ってるんだから、私も頑張らないと!」
顔を見て言うには、少し自信はないけれど、電話越しなら本音を隠せる自信はあった。
「あ、そう……」
携帯を当てている反対側の耳に、インターフォンの音が聞こえた。
「…あ、ごめん。誰か来たみたい……」
最初のコメントを投稿しよう!