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「…………手が届く存在なのに……これ以上…望んじゃいけないって…わかってるの」
いつの間にか溢れた涙。
ひとつ、またひとつと頬を伝って流れていく。
それをハルの手がそっと指で掬う。
私はハルの首に手を回して、ギュとしがみつくと、せきをきったように想いを吐き出した。
「……っ…会いたいよ!ずっと傍にいたい!……離れたくないし、毎日声だって聞きたいよ!」
ハルは何も言わずに、私を包む腕に力を込める。
「………ハルの邪魔にはなりたくないのに……どんどん我儘になってく…」
言葉にすれば、自分がどれだけ欲深いのかが、よくわかる。
キレイ事を言ってても、結局は自分のドロドロした部分に気付かれたくないだけ。
理解できる彼女。を演じていただけだ。
「……やっと、しいの本音が聞けた」
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