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「ーーもしもし」
「どこにいるの?」
携帯から微かに漏れる声に、相手が誰だかわかってしまった。
「言わなきゃいけないわけ?」
「勝手なことしないで」
ギュっとハルの手を握りしめる。
きっと不安そうな顔をしていたんだろう。
大丈夫だというように、微笑みかける。
「迎えに行くから、どこにいるのか教えなさい」
「………いつものマンションだよ」
「すぐに行くから、いつもの場所にいて」
マネージャーから一方的に切られた電話は、ツーツー…と虚しい音を発している。
「ハル……」
「そんな顔しなくても大丈夫だっつーの。ここにいることは、バレてないから」
ハルの大きな掌が、ポンポンーーと優しく私の頭を撫でる。
「ごめんね……」
「しいが謝る必要ないだろ?俺が会いたくて来たんだよ」
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