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鞄を手にしようとしたところで、美憂の目の前にスッと差し出されたデザートプレート。 「この間言ったろ。次来た時にデザートつけとくって。帰るんなら食ってから帰れ」 プレートには、いつも美憂が食べているチーズケーキに柚子のシャーベット、きなこプリンが並んでいた。 私は美憂の袖をくいっと引っ張って、目で合図をする。美憂も少し落ち着いたのか、何も言わずに席に座った。 「じゃあ、槙さん!私もいつものパフェ貰おっかな!」 そう口にしたところで、鞄から鳴り響く音に気付いて、急いで携帯を手にする。 着信画面には、ハルの名前が記されていた。 「ごめん!槙さん!デザートちょっと保留!美憂、ごめん!ちょっと席外すね!」 切れないよう携帯片手に、急いでお店の入口へと向かった。 「っ……もしもし?」 「しい?今、平気?」 「うん!大丈夫だよ!」 自然と顔に笑みが広がっていく。 きっと今、思いっきりだらしない顔をしてそうだ。 「今日、いつものマンションに来れる?0時は回るだろうけど、しいに会いたい」
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