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「…美憂、この間のことだけど…」 「………聞きたくない」 ここに来た時から、一向にこっちを見ない。 まあ、当然といえば当然だけど、はっきり言っていい気分はしない。 「……悪かった」 デザートを口に運んでいた手が止まる。 「………言い過ぎたと思ってる。……痛いとこ突かれて……ついムキになった……」 そっと……こちらの様子を伺うかのように、ゆっくりと美憂が顔を上げる。 交わる視線に気まずさは覚えるけれど、どこかホッとした気持ちにもなる。 「美憂の……言う通りだな……。結局、心のどこかでは、幸せを願ってない自分がいる…」 いい歳して情けない。 好きな女の幸せを願えないなんて…。 「……じゃあ……私も一緒だね」
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