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ニヤっと笑みを零すと、美憂の表情が少し和んだ気がした。ずっと変な気を使っていたんだ。やっといつもの美憂に戻った気がする。
「それから、美憂。佑には気を付けろよ」
「え、何で?」
不思議そうな顔を向ける美憂に、俺は目を丸くした。あんなに人のことには敏感なくせに、自分のこととなると、わかんねぇのかよ…。と、思わず心の中で毒づく。
「いや…何でもねぇよ」
「なにそれ!気になるでしょ!」
言葉を濁して誤魔化してみても、美憂の尋問はしつこく続く。
すると、そこにゴミ出しを終えた佑が戻ってくる。
「……何してんすか?」
傍から見れば、ただ戯れているようにしか見えないだろう。美憂が俺の腕を掴んで離さない姿を驚いた顔で見ている。
「あ、佑くん!聞いてよ!槙さんってばーー」
「美憂、溶ける」
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