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聞こえてくる会話に耳を傾けながら、美憂の鈍感さに若干同情したくなった。
「美憂さんと行きたいからに決まってるじゃないですか!」
「え、そういうのは好きな子と行くもんでしょ?」
その好きな奴がお前だよ。と、つい口から出そうになるのを、グッと飲み込む。
美憂の反応にも負けずに押しまくる佑は、ある意味すごい。
「だから、好きな人を誘ってんすよ!」
「え?」
さすがにわかるだろうと思っていたけど、美憂はその上をいく。
はははっ!…と笑い出したと思えば
「佑くんウケる!そんな嘘ついてまで行きたいの?」
さすがの佑も完全に心が折れたっぽい。
引き攣った笑みを浮かべて、俺の横に立つ。
俺には、かける言葉が見つからない。なのに……
「ね、槙さん。花火大会一緒にいこ!」
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