4

17/27
前へ
/456ページ
次へ
「遠距離だから、行けないの」 この手の話題を交わす術は、この数年で嫌ってほど学んだ。大体、遠距離だからーーって言うと同情的な会話しか繰り広げられない。 「あ、じゃあ呼んだらいいじゃないっすか!」 佑くんの言葉に、私と美憂は動きを止めた。 それが出来るんなら、二人で行きたいに決まっている。私は、さも平気な素振りを見せて 「仕事休めないから。今年は皆と楽しむよ」 「そおっすか?じゃあ楽しみましょうね!」 正確には、今年も。だけど…… きっとハルと、こういったイベントを過ごすことは、これから先も出来ないだろう。 わかっているけれど、やっぱり少し寂しい。 ふと腕時計に目をやると、22時を過ぎていた。ハルが帰ってくるまで、充分時間に余裕はあるが、もし早く仕事が終わったら…と考えるだけで、気持ちだけが焦り始める。 「ごめん、美憂。私、ちょっと……」 コソっと隣にいる美憂に耳打ちをすると、美憂も察してくれたようで、小さく頷く。
/456ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2073人が本棚に入れています
本棚に追加