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「遠距離だから、行けないの」
この手の話題を交わす術は、この数年で嫌ってほど学んだ。大体、遠距離だからーーって言うと同情的な会話しか繰り広げられない。
「あ、じゃあ呼んだらいいじゃないっすか!」
佑くんの言葉に、私と美憂は動きを止めた。
それが出来るんなら、二人で行きたいに決まっている。私は、さも平気な素振りを見せて
「仕事休めないから。今年は皆と楽しむよ」
「そおっすか?じゃあ楽しみましょうね!」
正確には、今年も。だけど……
きっとハルと、こういったイベントを過ごすことは、これから先も出来ないだろう。
わかっているけれど、やっぱり少し寂しい。
ふと腕時計に目をやると、22時を過ぎていた。ハルが帰ってくるまで、充分時間に余裕はあるが、もし早く仕事が終わったら…と考えるだけで、気持ちだけが焦り始める。
「ごめん、美憂。私、ちょっと……」
コソっと隣にいる美憂に耳打ちをすると、美憂も察してくれたようで、小さく頷く。
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