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「………聞いたのか?」 「……ごめんなさい」 はぁ……と、深く息を吐く音を耳にして、少し沈黙が続く。私は、どうしようか迷ったけれど、どうしても聞きたいことを槙さんにぶつけてみた。 「………あ…の…好きな人が…いるって…ほんと?」 「………ほんと」 「でもっ……この間、恋愛してる暇はないって…」 「…片想いだからな」 真っ暗な夜空に吸い込まれるかのように、ポツリと響いて消えていく。 静寂の中で、ドーン!とひと際大きな音が空に鳴り響いた。 「お、始まったな」 「あ………」 色とりどりの花火が次々と打ち上がる。 前の方へ行こうとする槙さんに続こうとしたところで、普段履きなれていない下駄に躓く。 「…あっ…」
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