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ガシっと槙さんの手が、私の腕を掴んだ。 「…ごめんっ」 「大丈夫か?慣れてねーんだから、気を付けろよ?」 夜空に打ち上がる花火の灯りが、槙さんの横顔を照らす。いつもと雰囲気が違うのは、見慣れない私服のせいだろう。掴まれた手が力強くて、槙さんも男の人なんだと感じた。 「ああー!始まってるー!」 飲み物を買いに行った佑くんと美憂が戻ってきた。手には沢山の飲み物と、恐らく屋台で買ったんだろう焼きそばや、たこ焼きの袋をぶらさげている。 やたらテンションの高い佑くんに比べて、美憂の様子がさっきと違うような気がした。 「美憂、何かあった…?」 何かを考えるような素振りを見せた後 「詩花、ちょっといい…?」 私は美憂と共に、少し離れた場所へと移動した。
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