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決してこっちへ顔を向けずに、前を向いたままで疑問を投げかける。 「え……」 「俺は、勘違いされてもいいっす」 「佑くん……?」 グっと繋がれた手に力が入ったかと思ったら、グイっと手を引かれて、佑くんの胸元へと引き寄せられる。 「はっきり言わないと、美憂さんには伝わんないんでいいますけど。……俺は、美憂さんが好きです」 ドクン…ドクン…と並打つ胸の音は、どっちのものなんだろう。突然の出来事で、上手く言葉が出てこない。何とか振り絞って出た言葉が 「…………ごめ…ん…私……」 「ストップ!今は、返事しないで下さい」 見上げる佑くんの表情が、暗さのせいではっきりとわからない。 「………槙さん…すよね?」
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