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「やべっ!始まった!」
二人して花火の打ち上がった夜空を見上げる。
「美憂さん、行きましょ!」
手を引かれて、少し足早に進む。
カサカサ…と袋と浴衣が擦れる音が、やけに耳に大きく聞こえた。
みんなの姿が視界に入る距離まで来たところで、スッと佑くんが手を離す。
「デートの返事……花火が終わる頃には、聞かせて下さい」
「……あ……うん…」
ふと顔を向けた先に、いつも見る優しい眼差しで見つめながら、詩花の腕を掴む槙さんの姿が目に入った。
たったそれだけのことで、こんなにも胸が苦しくなるなんて…。
「ああー!始まってる!」と、大きな声をあげながら、一人、小走りでみんなの元へと向かう佑くん。
その後ろ姿を眺めながら、さっき言われた事を思い出す。きっと、好きだと言ってくれる佑くんの手を取る方が、こんな気持ちにならなくて済む。
「美憂、何かあった?」
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