月の一本簪

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十六夜が まだ 禿の頃 元の名、凜のとき初めて 月翔と客の絡みを見て 自分も将来 同じことをする恐怖にかられ 思わず 涙目で 部屋を飛び出した。 「凜!どこいく!!」 遣り手婆の福が 見世の外に走り出ようとする凜の手を きつく掴む 「足ぬけするってんじゃないだろうね!まだガキのくせに折檻されたいか!!」 凜は暴れるが遣り手婆の福の力は 意外にも力強くやはり子供の凜には かなわない。 「こんガキ!おとなしくしな!!」 福は 暴れる凜にますます苛立ち 手をふりあげ 凜の頬をぶとうとした瞬間 「止めな」 大柄の福の手を 後ろから 一人の若い男が掴み止める。
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