月の一本簪

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凜が恐る恐る見上げると 長い髪を 後ろに結い上げ 涼しげな二枚目風貌の男と目が合った。 「まだ子供だろ。それにかなり可愛い顔の子娘だ。お福の張り手は跡が残りそうだ。俺に免じて大目に見てくれよ」 「源氏の旦那!」 お福は手を下ろし、 凜から離れると 「月翔はまだ客ついてんだろう?俺が、凜か…この子娘に良く良く言い聞かせてやるよ。女将に俺がきたこと言ってくれな。ちょっとその辺まで出るからよ」 源氏と呼ばれた男は 凜の手を引きながら 少し離れた 吉原内の小さな社の神社に連れてきた。
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