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源氏は泣きじゃくる凜の頭を撫でながら
小さく呟く
「凜…月を見てみろよ」
凜は目を腫らしながら
ヒックヒック 嗚咽し
泣きながら月を見上げる。
「今日は三日月か…月はくる度々形を変える。
満月は普通に皆が好むよな。
だが、俺は十六夜月が好きだ」
凜は、月を
ひたすら寂しそうに見つめる 源氏に
いつのまにか 涙もとまった
「十六夜月?…好きなのに、なんでそんなさびしそうに言うんでありんすか?」
源氏はハッとして
凜に笑いかけながら
「なんでもねえよ。いいか凜、
客を迎えるようになったら
吉原(ここ)に来た以上は 辛くても 悲しくても客の前では、本心は見せるな。もう一人のお前を作るんだ。
表と裏を使い分けるんだよ」
「もう一人のあちき?」
「そうだ…」
「…源氏の兄さん、、姐さんがしていたことって、ほんとは好きな人とだけするんでしょ?」
源氏は言葉に詰まり
頭をかきながら
「本来はな…そのほうがいいよな…でも、吉原は男がいっとき極楽の場所なんだよ。沢山の綺麗な遊女がいるから、夢を見たくなるのさ」
凜は納得がいかない様子で、ブツブツつぶやきながら 頬をふくらます
「でも、姐さんたちはいつもお客たちの前では笑っているけど、終わったあとはほんとに苦しそう。姐さんはまだいいほう。お職花魁だから休みもできる。でも、そうじゃない格下の姐さんはもっと扱い酷いって聞いた。全然極楽じゃない!地獄でありいす!!」
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