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次にはふわりとした浮遊感。
なんとか目をこじ開けて見れば、すぐ側に夏樹の顔があった。
「香菜っ、しっかりして、香菜っ」
夏樹が必死の形相で香菜のことを抱き寄せ、頭を持ち上げてくれている。
『ああ。夏樹が、また助けに来てくれた』
香菜は少し安心したが、だが、次の瞬間には夏樹の肩ごしに、
「!」
木刀を振りかぶる男の姿を見た。
『また後ろから!』
香菜は今度も危機を知らせようとするが、どうしたことか声がでない。
腕もあがらない。
「――なっ……」
「しゃべらないで。じっとして」
香菜の瞳に意思が宿ったことに安心したのか、夏樹はそう言ってくれるが、でも容赦なく夏樹に振り下ろされる木刀。
夏樹はもろに背中に喰らって、
「ぐうっ」
香菜の上に昏倒してきた。
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