12 プライド

2/18
前へ
/127ページ
次へ
次にはふわりとした浮遊感。 なんとか目をこじ開けて見れば、すぐ側に夏樹の顔があった。 「香菜っ、しっかりして、香菜っ」 夏樹が必死の形相で香菜のことを抱き寄せ、頭を持ち上げてくれている。 『ああ。夏樹が、また助けに来てくれた』 香菜は少し安心したが、だが、次の瞬間には夏樹の肩ごしに、 「!」 木刀を振りかぶる男の姿を見た。 『また後ろから!』 香菜は今度も危機を知らせようとするが、どうしたことか声がでない。 腕もあがらない。 「――なっ……」 「しゃべらないで。じっとして」 香菜の瞳に意思が宿ったことに安心したのか、夏樹はそう言ってくれるが、でも容赦なく夏樹に振り下ろされる木刀。 夏樹はもろに背中に喰らって、 「ぐうっ」 香菜の上に昏倒してきた。
/127ページ

最初のコメントを投稿しよう!

143人が本棚に入れています
本棚に追加