12 プライド

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夏樹は香菜の身体に覆いかぶさってくる。 そのまま動かないので、大怪我でもしたのかと、 「な、つき?」 香菜が声を振り絞れば、 「……大丈夫」 夏樹は少しだけ顔をあげて、香菜に表情を見せてくれた。 その顔はいつも通り、余裕に微笑んでいる。 香菜がホッとしたのもつかの間、夏樹はいきなり上を向き、 「吾妻っ! いるんだろう吾妻。助けろよ!」 オフィスビルに向かって大声をあげた。 すると、 「黙れ、こいつ」 再び、夏樹の背中に振りおろされる木刀。 「キャアッ!」 目の当たりにした香菜は、思わず悲鳴が飛び出す。 それでも夏樹は、 「くっ」 痛みを堪えるように頭を振って、再び、 「吾妻助けろ。頼む、香菜を助けてくれ!」
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