143人が本棚に入れています
本棚に追加
「な、長島さんとこで一本化? そんな話は聞いたこと……」
男たちは言い募ろうとするが、
「うるせぇって言ってんの。この話はもうてめぇらの親分さんとウチで、話が出来てんだから、てめえらがグダグダ言う筋合いねぇだろうが」
長島が一喝すると、諦めたように、次々に車に乗り込んで、やっと行ってくれた。
香菜はホッと息をつく。
しかし、そうなっても夏樹は香菜を離してくれようとしないので、
「……夏樹?」
不思議に思いながら呼びかけると、
「いつまで、ふたりくっついてんの。それ、ぼくに見せつけてるつもりかい」
長島のイヤそうな声がかかった。
夏樹はピクリと反応し、一度だけ、ギュッと強く香菜のことを抱きしめる。
それから、ふわりと上体を起こした。
最初のコメントを投稿しよう!