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「佐々部さんとこのアレクローンが、もう潰れる一歩手前で、金策に駆けずり回ってるって話は、ぼくの耳にも入っていたからね。だから、キミの借金がアレクにもあるのなら、ヤツら絶対手を出してくるだろうって思ってた」
「だったら、どうしてちゃんと教えてくれなかったんですか」
なんてことのない風に言う長島に、香菜は、夏樹を治療する手を止めて睨みつける。
長島が最初から危険を教えてくれていれば、夏樹だって、こんな怪我をすることはなかったはずだ。
香菜だって、ちゃんと用心もした。
長島さえ、ちゃんと教えてくれてさえいれば……。
だけど長島は、
「忠告はしたよ。キミは狙われているって」
思い返してみれば、
「くれぐれも用心しときなよ。お姫さまは常に狙われているから」
なんて、ふざけた口調で夏樹に言っていた記憶がある。
だけど、あんな皮肉な調子で言われて、誰が本気にすると思うのか。
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