12 プライド

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ちょっとひどい言われように、香菜が言い返そうとするも、 「川上氏の研究成果と、キミとの間には何も関係なんかないだろう」 そう言われてしまうと、グッと詰まる。 確かに、香菜はキヨの研究には、何も関係していない。 研究どころか、キヨとの間柄自体も、もう恋人でも友人ですらない。 だから長島が言うことは、 「勘違いしないでよ。ぼくの名前ぐらい彼に伝えられるでしょうって言ってるだけ。キミには特別なことは何も期待していないよ。せいぜい世話になったとでも言ってくれたら御の字さ。 紹介さえすんでしまえば、彼の研究のどうこうは、あくまで川上氏とぼくの間の問題だしね」 キツいけれど真実だ。 それに、 「キミは勘違いしているようだけれど、これは川上氏にとっても絶好の条件のはずだよ。彼の研究に期待して、ウチがスポンサーになろうってんだからね」 確かに、いつも研究費用に苦労している大学にしたら、長島の申し出はありがたいものだろう。 研究室はいつだってスポンサーを探している。 それはキヨが所属するチームも、キヨも同じこと。
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