1 合コン

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せっかくのお酒を味わいもせずに一気コールで豪快にあけるメンバーたちに、香菜は、こっそりと横をむいてため息をつく。 『もったいない。このお店のお酒、本当に美味しいのに』 香菜の前のグラスは、巨峰のセプドール。 カクテル・グラスに薄紫が広がっていてとても美しい。 季節のフレッシュフルーツカクテルとメニューにあったから、きっと本物の果汁を使っているのだろう。 お手頃価格でこの手間は、店が本物の証だ。 こんな風にお酒は最高なのに、メンバーだけがいただけない。 せっかくのカクテルを、味わうこともせずに、ただグラスを空けることだけを目的に、注文が重ねられるドリンクの数々。 そんなお酒は、もう存在自体が哀れだ。 手拍子ではやし立てながら一気飲みをする男性陣なんて、香菜はもう、見ているだけでうんざりなのだが、 人数合わせで参加した合コンである以上、勝手に帰ってしまうわけにもいかない。 せめて一次会の間ぐらいはいないと、主催者の顔がたたないのだ。 これでなかなか、給湯室の付き合いも大変である。
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