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やりきれない気分で、つまみの洋風かにみそバターを、フランスパンですくって口に入れたら、
「!」
すごく美味しくて、びっくりした。
かにみその風味は濃厚なのに、ちっとも生臭くないし、バターとの相性もばっちりだ。
かなり絶妙なバランスで保たれている。
これ、どこかの専門店で売っているものだろうか。
本気合コンともなると、女性陣はあまり料理に興味を持たないから、テーブルの上には綺麗に盛り付けられた料理のお皿が、運ばれた状態のまま残されている。
誰も手をつけていない。
生ハムとカイワレのサラダの皿のオレンジ色のソースは、舐めてみれば、そんじょそこらのドレッシングではなかったし、オムレツみたいな黄色くて丸いピザは、ピタパンのように具材がたっぷりだ。
『……冷める前に食べちゃえばよかった』
こんな繁華街の真ん中で、しかも勢いでお酒を飲むような客ばかりの店で、これほど上等な料理が出てくるなんて考えもしなかった。
「美味しい……」
香菜はひとくち食べたのを皮切りに、つい夢中で箸を動かしていた。
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