3 訳

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3 訳

最初は軽い気持ちから始めたことだった。 会社の身分保証でカードを作り、限度額まで目いっぱい借入れする。 香菜だって就職1年目で貯金があるわけではない。 それどころか、恋人との付き合いをうるさく言われる実家から出て、ひとり暮しを始めたので、むしろマイナスからの出発になった。 なのに、新生活が始まる早々、次々と欲しくなる生活用品、洋服、化粧品。 欲しいというより、必要なのだ。 毎日毎日、同じ洋服で出勤するわけにはいかない。 そして恋人の分も、同じくらい香菜は買った。 香菜の恋人は、川上清隆(キヨ)といって、大学時代から付き合っている。 キヨは、大学の時からひとり暮しだが、自分の時間のすべてを研究に投げ打てるような真面目な学者肌で、身の回りのことを、何ひとつ気にするような男ではなかった。
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